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鎌倉ではたらく太守のブログ

愛犬家で歴オタ、うつつなき者の備忘録。湘南ベルマーレを応援中。

妖霊星―天王寺のえうれいぼしを見ばや

太平記

今夜の大河ドラマ「八重の桜」のタイトルは「妖霊星」。
ちょうど大老井伊直弼日米修好通商条約を無勅許で調印したことに文句をいいに押しかけてきた徳川斉昭らを蟄居させ、その日、夜空に巨大なほうき星があらわれる、という回でした。
なんでも、この「妖霊星」は、天下が乱れんとするときにあらわれるらしい。

相模入道田楽並闘犬

古典『太平記』(相模入道田楽並闘犬事)でも、天下が乱れる予兆として登場してくる。ある夜、北条高時がいつものように田楽に興じ、酔狂で舞を舞っていると、いつの間にやら、まわりに天狗どもがやってきた。天狗たちは、高時とともに歌い、そして踊った。
しばらくあって拍子を替へて歌ふ声を聞けば、「天王寺のえうれいぼしを見ばや」とぞ拍子ける。
ある官女この声を聞いて、あまりの面白さに障子の隙よりこれを見るに、新坐・本座の田楽どもと見へつる者一人も人にては無かりけり。
あるひは觜かがまって鵄の如くなるもあり、あるひは身に翼あってその形山伏の如くなるもあり。
異類異形の媚者どもが姿を人に変じたるにてぞありける。
天王寺は聖徳太子が『日本国未来記』を書き納めた霊地。それゆえ、この話を聞いた識者は、これは天王寺あたりから、天下大乱が始まり、国が滅ぶ暗示だ、といったという。
 

楠木正成がみた天王寺の『日本国未来記』

ちなみに、天王寺の『日本国未来記』をどうやら楠木正成が見たらしい。すでに元号は正慶となり、光厳天皇が即位し、後醍醐帝は隠岐へ配流となっている。しかし正成は再挙して天王寺へと押し出し、六波羅軍を打ち破り気勢をあげていた。そのときのことである。
で、その内容は……
正成悦びてすなはち是れを披覧するに不思議の記文一段あり。 人王 九十五代に当たって天下一たび乱れて 主 安からず。此の時 東魚来たりて四海を呑む日 西天に没すること三百七十余箇日。西鳥来たりて東魚を食す。其の後 海内 一に帰すこと三年。猴の如き者 天下を掠むること 三十余年。大凶変じて一元に帰す。
「人王九十五代」は後醍醐帝、「東魚」は高時、「西鳥」は正成の暗示。隠岐に流した後醍醐帝が370余日でもどり、高時は正成に滅ぼされてしまう。その後、後醍醐帝の下で3年間、世は治まるが、「猴(みこう、サルのこと)の如き者 」があらわれ天下を掠めとるが、それも30年余りで天下は帰一する、とある。
聖徳太子ノストラダムスかw さてさて、この「猴の如き者 」とはいったい誰のことじゃ?