北条高時blog 闘犬乱舞。

うつつなき太守による歴ヲタの備忘録です

曺貴裁監督のパワハラ問題について率直に思ったこと

曺貴裁監督のパワハラ問題について、Jリーグから裁定が出た。調査報告書の内容は衝撃的で、読んでいてほんとうに辛くなったよ。

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Jリーグの裁定は以下の通り(湘南ベルマーレHPより引用)。残念ながら、曺貴裁監督のパワハラが認定され、クラブも管理責任を問われる結果となってしまった。

湘南ベルマーレ監督 曺貴裁殿
貴殿の違反行為に対する制裁の種類及び内容について決定しましたので、本書をもって通知いたします。
(1)制裁の種類及び内容等
けん責(始末書をとり、将来を戒める)
・公式試合5試合への出場資格停止 ※後者については、すでに自粛している5試合をもって、本制裁を科したものとする。
(2)違反行為の内容
1.曺氏は、多数のスタッフに対して暴言及び有形力を行使するといったパワーハラスメント行為を長期間且つ、多数回繰り返しており、その結果、スタッフが出勤できなくなったり、精神的に辛い思いをするなどの被害が複数生じた。
2.曺氏は選手に対してパワーハラスメントに該当する不適切又は問題となり得る言動が少なからずあり、一部の選手において精神的な苦痛を感じたり、移籍をせざるを得なくなったりするなどの被害が複数生じた。

株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役社長 水谷尚人殿
貴殿クラブトップチーム監督の曺氏に関わる制裁の種類及び内容に関し、下記のとおり決定しましたので本書をもって通知いたします。
(1)制裁の種類及び内容等
けん責(始末書をとり、将来を戒める)
・制裁金200万円
(2)違反行為の内容 曺氏に関し、Jクラブとして容認し難い(パワーハラスメント等に該当する又は該当し得る)言動があったことを認識し又は認識し得たにもかかわらず、積極的・能動的な事実関係の詳細把握や、同氏に対して改善を求めるなど、被害の発生・拡大防止や職場環境の改善に努めるべきであった。にもかかわらず、何ら積極的な行動に出ることなく、曺氏の言動を事実上容認し、多くの関係者が理不尽な目に遭ったりする等の被害が生じ、社会的非難を受け得る状況を招いた。

Jリーグの会見動画もぜんぶみた。この問題が報道された時点で、真っ白判定はないじゃろうと、ある程度の覚悟はしていた。じゃが、今回発表されたリーグが認定したパワハラの「事実」は、想像していた以上に酷いというか、にわかには信じ難いものじゃった。

報告書を読む限り、ふつうのサラリーマン社会であれば完全にアウト。「プロスポーツの世界だから…」「豆腐メンタルすぎる…」などと、容認できるものではない。パワハラを訴えたのは選手だけじゃなく、スタッフもいるわけじゃし。そもそもJリーグは「リスペクト宣言」しているわけじゃからな。クラブ側も「ぜんぜん気づかなかった」というのはおかしいじゃろう。これがわしの率直な感想じゃ。

村井チェアマンも芝弁護士も丁寧な説明に終始していたし、おおむね説得力ある内容に思えた。それでいてクラブの現状、キジェさんの将来への配慮・斟酌もなされていたし、このあたりは被害者感情も考慮すれば、現実的な落とし所だったんじゃろう。

ハラスメント問題は受け手の感じ方が基準。客観的証拠を集めるには限界もある。今回の事案も、その点は報告書に明記されておるし、キジェさんさんの意図や弁明、キジェさんを支持する選手の声もくみとった上での事実認定になっている。

いずれにせよ根拠のない、悪質な陰謀論を吐く連中は論外で、問題解決を面倒にするだけ。贔屓の引倒しはよろしくない。ここから再出発する他はない。

キジェさんの謝罪会見は、正直なものに感じた。憔悴しきったキジェさんはみていて辛かった。

僕はJリーグの中でも非常に長くひとつのチームを指揮している立場にあったので、とにかくチームを強くしようとか選手を成長させようということが、初年度よりも2年目、2年目よりも3年目とクラブの規模にかかわらず、頭の中をフル回転させて前に進まなければならないという想いだけでやってきました。去年ルヴァンカップで優勝して今年に臨むにあたっても非常に厳しいシーズンになるなと思ってピッチに立ったことは事実です。

ただ自分だけがそういう想いを加速させて、周りのスタッフや選手の本当に気持ちや本当はこうしたいんだけど言えなかったとか、その人そのものの真実のようなものを半ば度外視してしまった。プロの監督としてはそういう厳しさは必要というものもありながら、そういうものだけを重視して、本当に見えているものが見えなくなっていたのかなとこの50日近い時間の中ですごく考えることが多かった毎日でした。

人としてもそうですが、指導者としても自分のそういう信念そのものを今後さらに磨いていける材料にしなければいけないですし、先ほども言いましたが、許されるならばそういったものがまた自分の本当のものになっていくように真摯に努力するしかないと思っています。

ここがポイントかな。こうしたことは、どんなリーダー、組織にも起こり得る。慢心や驕り? 熱意や懸命さの反作用? 結果への責任感や焦り? それが選手、特にスタッフへの厳しい、理不尽ともいえる言動に繋がってしまったのかもしれん。

長期政権はどうしても腐ってくる。とくに強いリーダーは周囲に諫言できる人がいなくなってしまう。言葉は悪いが「裸の王様」になってしまうということ。そういうリーダーは古今東西、いくらでもいるわけで、キジェさんでも例外ではなかったということなんじゃろうか。

ただ、キジェさんが特定個人に悪意をもってハラスメント行為を繰り返していたとは、わしは思いたくないし、思えない。その点は、「供述」(この用法は違和感)中心にまとめられている報告書の不完全さはエクスキューズされているし、そのため比較的軽い今回の処分に決まったんじゃろう。村井チェアマンのコメントは救いではある。

パワハラ認定されたキジェも、ふがいない試合をしてサポから罵声を浴びせられて喧嘩するキジェさんも、「え?」と思う謎采配しちゃうキジェさんも、お腹丸出しで歓喜を爆発させるキジェさんも、選手の頑張りと成長に涙声になってしまうキジェさんも、全部が曺貴裁なんじゃよ。人間だし、完全じゃないんじゃよ。そんなキジェさんとともに喜怒哀楽、一緒に歩んできた道のりを、手のひら返しで否定するなんぞ、わしにはできん。

いずれにせよ、この裁定により、キジェさんは形のうえではすぐに現場復帰できることになった。じゃが、クラブとキジェさんが、このあと、どういう判断を下すのかはわからない。

わしはキジェさんのサッカーは好きじゃ、今後も湘南の指揮をとってほしいという思いはもある。とはいえ世間はそれを許すじゃろうか。実際問題として、いまの状態でキジェさんがパワーをもって指導ができるか。再び一体感あるチームをつくれるのか。まだパワハラを受けた選手、スタッフもクラブにいる。とてもじゃないが、いますぐに戻って来てくれとは言いがたい。いくらキジェさんでも、ぶっ壊れてしまうぞ。

これについては、クラブが適切に判断してくれると信じて、いまは静かに決定を待つとしよう。

閑話休題 キジェさんの件がどうなろうとも、けっきょくスタジアムに行く以外、わしの休日の選択肢はない。

今夜は川崎フロンターレ戦。こんな最悪の状況で、こんな強い相手と当たるのはなんとも厳しすぎる。気づけば残留争いはお尻に火がついておるし……

とにかくこれより出陣する。

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